黒竜（仮）
蓮香side
昨日片桐に家まで送ってもらった後、親戚のおばさんから連絡が来た。
「久しぶりね。元気にしてた？」
「はい。元気です。」
「突然なんだけどね、うちに戻ってこない？」
おばさんは突然そんなことを言い出した。
おばさんは親戚の中で一番私を嫌っていた。なのにどうして今更一緒に暮らさないかなんて言い出したんだろう？
そんなことを考えているうちに電話は切れていた。
その日は眠れずそのまま学校に行った。何もかも上の空。片桐に挨拶されても気づかなかった。
だから、屋上に行って気分を変えようと思った。
屋上に着くと話し声が聞こえた。盗み聞きするつもりはなかったんだけど聞こえてしまった。
「海霧。なんだよ話って？」
「昨日。蓮香ちゃんが帰った後に蓮香ちゃんのこと調べたんだ。そしたら皇龍の元姫だった。しかも皇龍を潰したのは蓮香ちゃんだ。」
「皇龍ってあの薬に手出してた日本最強の暴走族のことか？」
「そうだ。あの皇龍だ。蓮香ちゃんを仲間にしたのはまずかったかもしれない。一応お前の耳には入れといた方がいいと思ってな。話はそれだけだ。じゃ俺は先に戻るから。」
「おぅ」
私はとっさに隠れた。
知られてしまった。過去のことを、もう黒竜にはいられない。
私は、ふらふらと家に帰った。
いろんなことがありすぎて、私はそのまま眠ってしまった。
次の日もその次の日も片桐が私に話しかけてくることはなかった。
あぁ。私はまた1人になったんだ。
そう思うしかなかった。
それからは片桐に期待なんてしず今まで通り1人で過ごした。その間片桐は私の目の前には現れなかった。
片桐が私の前に現れなくなって1ヶ月が経とうとしていた。あの日からずっとずっと1人毎日ぼーっと過ごす日々。何にもやる気が起きなくて。寝れなくて。ずっと同じことを考えて。寂しさを隠して。
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