小森隼、お兄ちゃんになります♪
母「・・・やと?」

隼「お母さん!お母さん!」

(隼のバーカ!)
(この金髪不良男!)
(大好きよ、隼)

お母さんとのいろんな会話を思い出した。

ちょっと口が悪いときもあったけど

お母さんが大好きだ・・・。

お母さんが弱々しく口を開いた。

母「・・・可愛がって・・・あげて・・・ね・・・。
  はやとは・・・おにい・・・ちゃんに・・・なるん・・・だから・・・」

さっきまで、握り返してくれていた
暖かい手の力が失われていく。

隼「お母さん!おか・・・あさん!しっかりしろよ、お母さんっ!泣
  詩と結愛を抱いてよっ!泣」
  
そして、だんだんと
お母さんの手のぬくもりが消えていった。

医師が、お母さんの瞳をライトで照らした。

医師「小森久美子さん、11時21分、ご臨終です。ご愁傷さまでした」

・・・嘘だろ?

お母さんの手を強く握った。

だけど、もう俺の手を握り返してくれることはない。

さっきまで暖かかった手が

こんなにも冷たくなるなんて。

ドラマでしか見たことがなかった。

俺は、この暖かい手に何度救われただろう?

もう、この手に救われることはないのだろうか?

・・・泣いちゃだめだ、泣くな!

今はお母さんに

ずっと言えなかったことを言うんだ。

お母さん、今までこんな俺を育ててくれて

ありがとう。

ずっと、照れくさくて言えなかったんだ。

わがまま言って、いっぱい困らせたけど

俺はお母さんが大好きだよ。

隼「お母さん、ありがとう・・・」

人って、瞳孔が開いてても、

まだ聴力は残ってるんだよね?

もし、それが本当なら

泣き叫ぶより、「ありがとう」って

伝えないとね・・・。 
< 11 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop