ダメだ、またコイツに。
まだ小さい頃、
走り回るのが大好きなクセによく転んでいた私。
そんな私のケガの一つ一つに、かわいいうさぎ柄の絆創膏を貼ってくれていた近所の佐お兄ちゃん。
痛くなくなるおまじないをかけてくれながら、優しく手当てしてくれた佐お兄ちゃん。
その時から、私はずっと佐お兄ちゃんが好きで、
でも想いは伝えられないままで。
そしてついに、お兄ちゃんは高校生になってしまう。
高校生にもなれば、お兄ちゃんにとって中2の私はもうただのガキンチョで、
高校には、可愛くてボイン(?)な女の子がきっといっぱいいる。
そうなれば、私の恋はもう実らない。
それでも、こんな魅力のカケラもない私は、まだ告白できない。
自信がないし、優しくてイケメンで人気者な佐お兄ちゃんにはまず釣り合わない。
そう思うと、あんなに泣くもんかと思っていた卒業式の途中、卒業生でもないのに涙が溢れてきたんだ。