見た目通りには行かない
「尊~さっきの女かなりの美人じゃん!
勿体ねぇ
ありゃまた、変な男に絡まれそうだな」
俺は尊の態度を不思議に思いながらも尊の背中に向けてそう言うと尊はピタリと足を止めた
あ?なんだ?
尊は俺の方を向いて何かを言い掛けて止めた
珍しい
尊が言いたいことを止めるなんて
それよりも、俺にはわかった
尊の瞳の奥に戸惑いを見付けた
何に迷ってる?
こんな尊は初めてだ
「どうした?」
「幸輝………お前…………あの女みたことあるか?」
「は?あ、さっきの?いや?初めて見たな
美人だし一度見たら忘れそうにないしな」
俺がそう言うと尊は考えるように顎に手を置いた
尊が女を気にしてる?
これは、もしかして…………?
いや、まさか?
「尊…………惚れた?」
「なっ………!!」
うわっ、これまた………
尊の顔が紅い?
図星?
さっきの女だよな?
尊ははっきり言ってモテる
男の俺から見てもかなりのいい男だ
夜の街には尊を落とそうと躍起になっている女達
それなりに女には不自由しないだろう
好みかどうかは別だけど
俺も、尊の女事情を完璧に知るわけではないが………
女を知ったのは遅かったように思う
高校時代には何度も誘われていたが断ってたし
俺みたいに手当たり次第なんて事はなかった
「興味ねぇ」なんて言ってたし、たぶん、大学の時のあの、女が初めてだろう