見た目通りには行かない
20歳位から長い間付き合っていたと思う
尊は真剣に、真面目に
尊が惚れていたのは誰が見てもわかった
本家にも出入させていたし
ただ、あの女はそうじゃなかった
最低だった
美人だし、大人しそうな外見に騙されそうではあるが、かなりのアバズレ
俺にも迫ってきた
他の組員にも
もちろん俺たちは相手にしない
尊の女だって知ってるからな
でも、女は尊だけでは飽きるのだろう
尊の知らないところであちこち手をつけていた
何度か尊にも聞いたことはあったが尊は女に惚れてたし信じていたのだろう
そんな尊に、それ以上は言えなかった
言えるはずもなかったんだ
「別れろ」なんて
尊のいないところでは組員に対しても横暴な態度だったから組員は嫌がっていたけど尊の彼女だから我慢していたのだろう
尊の金と地位だけしか見てなかった女
それでも、別れは呆気なかった
ちゃんとは知らないが、所謂、男と女の現場を見たらしい
尊が女の家に行ったらまぁ、最中だったってやつ
それから尊は特定の彼女は作らなかったし執着もしなくなった
一度だけ飲んだ時に「俺は女を見る目がない」って寂しそうに呟いた時の顔は忘れられない
だから、そういう時はそれなりに後腐れない女を選んでたと思う
朝帰りなんてなかったから本当に寝るだけの女
あれから、二年位か?
そんな尊が?一目惚れだと?
あれ以来ある意味女嫌いでもあった尊が?
「す、すぐ調べてやる!」
絶対見付けてやる!
そう意気込んだが、数時間後いとも簡単に見付かるなんて思いもしなかったけどな