見た目通りには行かない

幸輝side





玄関前で躊躇する川口さんを促して中に入った

あの躊躇の仕方は間違いなく怖がってると思ってたのに
出た言葉は「会長がいらっしゃるのでは?」だった
思い出して笑いそうになった
なんで会長なんだよ


いきなり親に会うなんて?ってやつか?
もしかして、相当期待してるんじゃ………
笑いながらも嫌な予感を感じてしまう


「うわぁ」っと横で声が聞こえた

あ、しまった
組員が何人か尊を出迎えていたんだ
そりゃ、大きな男に出迎えられればビビるよな

俺は慌てて川口さんの背中を押して急ぐように促したが川口さんの足は止まってしまって動かない
余程怖いのか?


「すごい」


え?
川口さんの足は止まっていたが視線は組員ではなく本家の隣にある建物を見ていた

あ、あれは………



「あ、川口麗?」


太い声が川口さんの名前を呟いた
それは、組員の一人だった
なんで知ってる?
嫌な事を思い出した
もしかして、元カレとか、昔寝た男か?
川口さんがその組員を見れば組員は目を見開いた



「やっぱり!川口麗!」

「はい?」

「なに?お前なんで知ってる?」

「え?いやいや、幸輝さん知らないんですか?」


俺の声は低く威圧していたはずだが組員は興奮している様で気にも止めなかった



「あっ、もしかして、あの?」


それに倣うかのように他の組員も川口さんを見て騒ぎだした


「こんなとこで会えるなんて!」

「うわっ!まじ、可愛い!」


何故かはわからないが急に組員が寄ってきた




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