見た目通りには行かない
再会

麗side




「社長、昨日も今日も本当にありがとうございました」



私は目の前に座る社長に頭を下げた
幸輝さんは、「俺はデートだから二人で」なんて言って今は社長と二人
緊張しながら社長と運転手つきの車に乗ってホテルのディナーに連れてきて下さった


あまりの高級感に一瞬引いてしまったけど、社長に対するお礼としては足りないくらいだ

幸輝さんの事を「正木さん」と呼んでいたら、「尊も正木だから」とわざわざ名前の漢字まで教えてくれて
「幸輝さん」私の事は「麗ちゃん」になってしまった


たった二日間の出来事なのにひどく長い月日が経っているように感じる

昨日、変な人に絡まれて……助けてもらい
今日は経営会議で、社長に呼び出され助けてくれた人が社長で
夜のお誘いをいただき、まさか、今日社長の実家に行くなんて思ってなかった

そこで、稽古ができるなんて
大きな門構えをくぐった玄関入ってすぐに見えたのは立派な道場だった
中に入った時にいた人達が私を知っていたみたいで「稽古を」と言ってもらえ稽古をすることができた



なんと言っても、会長に挨拶することができた
きちんとお会いするのも、お話しするのも初めてだった


会長の姿を見た瞬間涙を堪える事が出来なくて泣いてしまった
きっと、めちゃくちゃ驚かせたと思う


会長の声に、姿に胸が震えた
ずっと、ずっと会いたかった
あの時と変わらないオーラと強い瞳


私と会長が出会ったのは10年前の私が中学一年生の夏休み




< 30 / 98 >

この作品をシェア

pagetop