見た目通りには行かない
告白
麗side
きゅっと握られた手の熱さに驚いた
クールな瞳の彼にそんな熱情があるのかと
彼の瞳に映る私はどんな顔してるのだろうか……
「川口…………麗」
あまり言葉を発しない彼の口から紡がれた自分の名前にドキッとした
私を見つめる視線
なに?逸らせない
「しゃ、社長?」
やっと出た声は震えていた
彼の醸し出す普通ではないオーラが怖いのだろうか?
"若"と呼ばれた彼がわからないわけじゃない
"社長"と呼ばれている彼のことも
私とは違う世界の人
私だけじゃない、彼と同じ世界の人の方が少ないだろう
瞬間、眉間を寄せて彼の空気が変わった
「尊」
「え?」
「社長じゃない、尊だ」
「あ、え?」
社長の名前は存じてますが……
新人研修の時に何度も何度も呪文の様に聞いて覚えてますが……
もちろん、フルネームで漢字で書けますとも
「一目惚れと言えば信じるか?」
言葉の意味を理解して顔に熱が籠ったのがわかった
なに、反応してるの!
小学生じゃあるまいし!
熱い愛を囁かれたわけでもないのに、それでも社長の言葉は私の心臓を撃ち抜くには十分で………
でも……
「あの………」
「竜二にも、幸輝にも渡したくない」
私の戸惑いながらの言葉を遮って、更にぎゅっと手に力が籠った
今の私にはその強さに返すことはできない