見た目通りには行かない
幸輝side
「お前だろ」
その言葉に心臓が飛び出るかと思った
バクバクと打ち付けている
「自覚してないのか?」
何も答えない俺に竜は少しだけ戸惑いを見せた
「あ、いや…………」
「…………別に尊のでも、気持ちに嘘つく必要はないだろ」
「………」
俺が麗ちゃんを?
でも、会ってそんなに経ってない
綺麗な女なんて腐るほど見てるのに?
色々思い巡らしてみたけど………
竜の言うとおりだ
初めて会った時に、いい女だと思った
尊が気に入ったとわかって、気持ちをセーブした
麗ちゃんは、誰が見てもいい女だ
ただ、それだけ
久しぶりに訪れた尊の恋愛を応援したい
そこに嘘はなかった
そのあと、すぐに会社で会ってまさかの社員だった
周りに聞いてみたが、会社での評判も良かった
男女ともに
しかめた、気難しい役職の親父連中を味方につけていた
それも、自然に
きっと、麗ちゃん自身が持つ不思議な力なんだろう
本家に連れて行った時もあっという間に組員と打ち解けて
挙げ句に組長も竜でさえも
あの女とは違う
尊が麗ちゃんを好きになっても反対する理由がない
容姿だけじゃない
性格もきっと問題ない
あとは、尊の問題だ
尊が本気になれるのか……
きっと麗ちゃんだって尊が本気出せば好きになるだろう
男の俺でさえも、尊はいい男だとわかっているし人間的にも惚れている
「幸輝は本気になれないか?」
「え?」
「お前も特定の女いてないだろ?いつからだ?」
「……俺はそんな女に出会えてないし、今は遊びで十分」