見た目通りには行かない
「麗ちゃん、今日は珍しいね」
「あー、うん……」
「男だと」
「お兄ちゃん!」
「えー!麗ちゃん彼氏?」
七瀬さんは瞳を輝かせながら聞いてくる
「麗ちゃん、モテるのに一年も彼氏いないなんて勿体ないもん!
良かった!どんな人?この前の合コンの人?」
私は戸惑いながらも首を横に振った
更に七瀬さんは瞳を輝かせて、稽古終わるの待ってるねと言って道場の端に座った
「逃げれねぇな」
兄はニヤリと笑って、私は稽古が終われば七瀬さんの質問攻めに合うことを感じた
それでも、誰かに聞いてほしかったのだと思う
七瀬さんが居てくれて良かった
「七瀬さん、借りるね」
「おう、早く返せよ」
そう言って稽古に集中した
「おっ、麗!久しぶりじゃん」
「たまには顔だせよなー」
一人二人と朝稽古に集まってきて賑やかになる
高校卒業まではここで毎日稽古してたから
みんな私のことも良く知ってる
「男だと」
「お兄ちゃん!」
もうっ!わざわざ言わなくて良いのに!
「え?マジで?」
「え?」
「もうっ、集中だよ!」
ここに来ればいつもそう
でも、それもまた懐かしい
「麗ちゃん!お昼行こう!」
「稽古が終わって着替えてたら七瀬さんが入ってきた」
「お兄ちゃんは?」
「あー、あっちは任せとけば良いよ」
「ん?」
「ほらっ!今日は女子会だよ」
七瀬さんと二人!嬉しい!
私は嬉しくて元気に頷いた
七瀬さんは、うっと胸に手をあてている
「七瀬さん?」
「麗ちゃん、破壊力ありすぎー!今の笑顔キュンときたー」
二人で笑いながら、ファミレスに向かった
その頃、お兄ちゃんサイドでは
「和也さん!麗に男ってどういう事ですか!」
「知るか
彼氏と別れて一年なるのにお前らヘタレすぎるだろ!
チャンスをモノに出来なかったお前らが悪い」
「だってよー麗見てたら可愛すぎて」
「兄に向かってキモいこと言うな!」
こんな言い合いがあって後で七瀬は大爆笑したそうだ