見た目通りには行かない

幸輝side





「尊………」

「何も聞くな……」

「聞くよ!何でそうなる?」



週末をモヤモヤして過ごして
俺はそれはそれは今日の月曜日を楽しみにしていた

あの、尊がどんな風に麗ちゃんを口説いたのか

それなのに!
一部始終を聞いて拍子抜けした

口説いたどころか、飯食って帰っただと?



「手は?」

「握った」


握った?



「繋いだの間違いだろ?」

「いや、話をしたときに握っただけだ」

「はぁ?キスは?」

「するか!」


珍しく鋭い突っ込みに一瞬後退り



「すぐに、ヤれとは言わないけど付き合ってキスくらいしろよ」


それどころか、付き合ってもいないだと?



「退かないからな」

「え?」

「尊がそんなんだったら、竜も俺も退かないからな」

「お前ら……」

「俺は麗ちゃんが好きだよ」



昨日、竜と話をして自覚した
それでも、尊が今日ちゃんと麗ちゃんをモノにしたと報告すれば諦めるつもりでいた
だけど、



「そんなヘタレにやれない」

「幸輝………」



尊が人を好きになるのが怖くなるのもわかる
あの時の尊を思い出すだけで俺も辛い

あの女のせいで
あんな女のせいで
悔しくて仕方ない

元々積極的じゃない恋にますます、消極的になった


そんな尊の凍りついた想いに火をつけてくれた麗ちゃん
尊が尊の言葉で好きだと麗ちゃんに伝えてあげて欲しい






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