見た目通りには行かない
「お?麗ちゃんにもとうとう彼氏か?」
「どうだろ?振られちゃうかもよ~」
「そりゃないだろ?こんど連れてきな、俺が見定めてやるよ」
「おじさんの目は厳しいからね」
「そりゃ、可愛い麗ちゃんの男だからな
ここの連中の審査は厳しいぞ」
社会人になってから一人暮らしを初めてから知ったこの店は二年ほどではあるが私にとっては安心できる場所
まだ、社会人になったばかりの時は彼氏もいたんだよね
別れてから一年
男気のないことは店主であるおじさんはよく知っている
だから、よく「俺が良い男紹介してやる」なんて言ってくれたり
さっき連れて行ってもらったレストランよりも遥かに小さいけれど店主の人柄は大きく味も抜群
ビールと焼き鳥
それは定番
今日は食事の後なのでそれだけ
食事を兼ねるときはもちろんがっつり定食
「おじさん、ご馳走様でした~」
「麗ちゃんまた、来てよ
うちの親父連中はみんな喜ぶからさ」
お世辞でも嬉しい事を言ってくれるおじさんに自然に笑顔になる
おじさんの人柄に集まる人はこれまた好い人ばかり
そんな人達との会話は心地良い
店を出て一人暮らしのマンションまではものの五分
最高の立地
この心地よさに彼氏と言う存在の必要性を感じないのかも
「私に彼氏ができないのは、おじさんのせいじゃん」
そう、一人で呟いてまた、自然に笑顔になった