見た目通りには行かない
風呂から上がれば正木組長の姿はなくて、そこには尊と光輝がいた
三人視線が絡んで胸ぐらをつかみあって
殴りあって
せっかく風呂上がりなのにまた、汚れて
それでも何故だか、笑ってた
同級生であり、尊と光輝と仲良くなるのには時間は掛からなかった
二人とはライバルでもあり親友
でも、薬物中毒でもあった俺は禁断症状も出て暴れることもあったが、いつも組員の誰かに抑えられていた
後で気付いたのは、尊や光輝には気付かれないように、危なくなったら組員に呼び出されたりしていたから
あの、二人に俺の醜態は晒さずに済んだ
組長には感謝してもしきれない
俺は組長に忠誠を誓い
組長の側にいさせてほしいと願うようになった
勉強は好きじゃなかったから、組長の側近として働き始めた
そして、いつか
川口麗に会えたなら
ちゃんと、謝罪と想いを伝えたかった
川口麗の活躍も知っている
大した女だ
テレビに映る川口麗は昔よりも可愛く、綺麗だった
俺なんて相手にされないだろうけど
もしかしたら、忘れてるだろうけど
それでも、いつか会える日を期待した
でも、六年前忽然と姿を消した
柔道は高校までと決めていたらしい
そうなると、今まで画面越しでも見ていた彼女を
見ることが出来なくなって、苛立った
その捌け口は結局、他の女
満たされるのはその場の欲求だけ
それもだんだんバカらしくなってきた
その頃俺たちは二十歳を越えていた