見た目通りには行かない
尊も同じ時期位に女が出来て、別れて、荒れた
それもあって、お互い気が向いたら飲みに行くこともあった
「尊………女は?」
「俺には恋愛は向かない」
そう呟いた尊に、あの女への怒りを覚える
尊にとっては初めての女だ、なんて光輝は言っていた
モテるくせに硬派で、軟派な光輝とはよく比較されていた
「忘れろよ、あんな女」
いい女でもなんでもない
尊には勿体ないくらいだ
別れて正解だ
ただ、尊は大事にしてた
尊なりに
女にとっては、物足りなかったのだろう
「そうだな」
「お前なら抱いて欲しいって思う女は腐るほどいてるぞ」
「俺は光輝じゃねぇからな」
そう言って笑った
別に尊の女事情に口挟む気はない
でも、寂しく笑う尊が悲しかった
「尊はいま、それなりに女いてんの?」
「あいつと別れたあとは、な
それでも、虚しいだけだったからな
そんな関係は俺には向かない
両手で充分足りる程度しかヤってねぇよ」
珍しく赤裸々に話す尊
酔ってるのかもしれない
「時々、どうしようもない苛立ちを感じることがある
でも、それはそんな女では満たされねぇからな」
「そうだな」
「お前は?」
「え?」
「二十歳位の時に光輝が煩いくらいに竜に女だ!なんて騒いでた」
「あいつ、怖いわ」
その勘はどうやったら磨けるのだろうか
まぁ、だから尊の側にいてるのだろう
この先、大学を卒業すれば尊は社長として若頭として大変になるだろうからな