見た目通りには行かない
「…………」
「尊~あんまりびびらすなよ」
隣にいた男性の声に視線を向けるとすごい美形
こんな美形が街を歩いていたらさぞかし女性は放っておかないだろうなぁ
あっ、違う違う!そんな事より!
「た、尊………?お、お前…………正木………」
私の腕を掴んでいたチンピラ風の男性は目の前に立ちはだかる「たける」と呼ばれた男性を認識すると
慌てたように腕を離してパッと逃げてしまった
最後なんて何言ったのかさえもわからない
え?なに?何だったの?
何も言ってないよね?
いやいや、それより、助けてくれたんだよね?
見上げる様に視線を移すとこちらを向いていた彼とばっちり目があった
うわっ!
隣の人もかなりの美形だけど、この人は大人の色気もあって
何にせよ、この二人は良い男だ
「………っっ」
一瞬男性がはっと息を飲んだ気がする
あ、見過ぎちゃったかな……
私は一度視線を外してもう一度合わせた
鋭い漆黒瞳は一瞬怖いけど、その奥に優しさが見えて私の気も緩む
「ありがとうございました」
男性に向き直り目を合わせてちゃんとお礼を言った……つもり
男性は怒ったのか視線を外してそのまま行ってしまった
「あ、」
行っちゃった……なんか、お礼の仕方がまずかったかな?
そう思いながら私は自分のマンションへ向かった
もう一度彼に会うのは、ほんの数時間後