見た目通りには行かない
光輝
「竜光と京唯を頼む」
またか、とため息が零れそうになるが、先に笑顔になってしまうのは
目の前にいる小さな存在
竜と二人、目を合わせてやっぱりため息も零れた
抱き寄せると小さな手で俺の顔を触りながらきゃっきゃっと足をばたつかせる
間違いなく俺は今、癒された
尊と麗ちゃんが結婚して5年が経った
二人は新婚時代から本家で生活してる
俺達はもう三十路
俺と竜の腕の中にいる小さなこの存在はもうすぐ三ヶ月になる二人の息子達
結婚してからもなかなか子供が出来なくて五年目にして授かった
二人は出来なくて悩んでるとかは全くなかったし、尊に限っては「抱けなくなる」なんて言って「ずっと二人が良い」とまで言ってた
かなり、真剣に
それでも、子供が出来た時はやっぱり嬉しそうだった
それからは大変だった
俺も、竜も、組員達も過保護になっちゃって、麗ちゃんが困ることもしばしば……
組長なんてこっそりと麗ちゃんの様子を聞いていたらしい
麗ちゃんが平気な顔しながら洗濯物を干している姿を組員達は転ばないか物陰からひやひやして見ていた
今すぐにでも駆け出したい気持ちをみんな押さえた
尊が自分と麗ちゃんの洗濯物を組員達が触ることを良しとしないから
「麗の服に触れるな、下着なんて論外」そんな所にまでも独占欲
実は尊の母親は小さいときに病気でなくなっていて、麗ちゃんの母親は孫の顔を見ずして亡くなってしまっていた