見た目通りには行かない
組長の部屋に俺と竜を呼び出して、子供が出来たことを告げられた時は柄にもなく泣けた
きっと、竜も
「うちには女手がいねぇから、麗が困らないようにしてやれ」
組長がそう言った時、麗ちゃんはいつもと変わらぬ姿で「お義父さん、ありがとうございます」
麗ちゃんにお義父さんと呼ばれるたびに組長が嬉しそうに笑っていることは知っている
性別は生まれるまで聞かないことにしてたみたいだったが、生まれたら驚いた
「双子だったのか?」
全員驚いた
麗ちゃんの腹がでかいとは思ってたが、そんなもんだとも
産まれたのは男二人
「お前らの名前もらうよ」
そう言って、差し出された紙には
"京唯(けい)" "竜光(たつみ)"
「尊……これは…」
「あぁ、親父とお袋の名前ももらうよ」
早くに亡くなった尊の母親の名前は"唯(ゆい)"
父親である組長京太郎の"京"と母親の"唯"
竜二の"竜"と俺の"光"
その名前に、俺は「さすがいい名前……」
わざと強気に言ってやろうと思ったのに結局、言葉を詰まらせてしまった
男三人、涙を堪えるのに必死
麗ちゃんは、「泣かせたかったのに」なんて
きっと我慢してるのわかって笑ってたけど麗ちゃんが綺麗に涙を流してくれた
「みんなで、守ってやってね」