“あなたを愛しています”




状況を理解するよりも先に、司君の甘い香り鼻腔を刺激する。

その硬い胸板を頰で感じる。




だっ、駄目だよ!

由希さんだっているのに!!




そんな言葉、出てくるはずもなかった。

私は司君に抱き寄せられたまま、ただひたすら身体を熱くする。

私の耳元で、彼は甘く切ない声で囁いた。




「そんなん言わんといて。

我慢出来ひんから」





頭が真っ白で、胸が破裂しそう。

司君は意地悪だ。

私をこんな状態にさせるのだから。


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