“あなたを愛しています”
俺たちの間に、沈黙が訪れる。
父親は真っ赤な顔で怒り、母親は相変わらず悲しげな顔だ。
そして……言葉を発したのは、意外にも菜々子ちゃんだった。
俺が散々迷惑をかけてきた菜々子ちゃんだ。
当然、俺を憎んでいると思ったのに……
「お父様、お兄ちゃんをもう許したってください」
予想外の言葉に、菜々子ちゃんを凝視する。
菜々子ちゃんは俺を庇うように前に立ち、真っ直ぐ父親を見つめて告げる。
「お兄ちゃんは、お父様のためにずっと頑張ってきたんです。
後継ぎなら、私がします。
私が然るべき良家の男性と結婚するから……」
その言葉に、
「菜々子ちゃん!?」
俺は顔を歪めて、彼女を呼んでいた。