“あなたを愛しています”








そんな訳で私は桜庭邸を追い出され、近くのカフェに菜々子ちゃんと一緒にいた。

そして、二人で黙って俯いていた。





司君の実家は驚くほどの良家だった。

そして、当然庶民の私を受け入れるつもりはなかった。

その証拠に提示された「勝負」。

どんな勝負なのだろう。





「もしかして、喧嘩とか……」




それは無理だ。

殴り合いの喧嘩はもちろん、口喧嘩だって怯んでしまう。




「私、大学だって三流だし……」




学力試験ならなおさらだ。

司君だって凄い大学を出ているから、相手の女性だってきっと……



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