“あなたを愛しています”






考え込む私を見て、



「花奈ちゃん、天然やなぁ」



菜々子ちゃんは面白そうに笑った。

面白そうなのだが、どことなく表情は暗い。

それもそのはず、



「お花の勝負やないかな。

それか、教養とか」



その言葉に震え上がった。




お花の……勝負!?

そんなもの、負けるに決まっている。

私が生けた花を、司君は「小学校の教室にある花」だなんて笑った。

だけどそれを、大切に家に飾ってくれている。





司君を思うと胸が甘く痛む。

私が認めてもらえる可能性なんてほぼないが、それでも精一杯立ち向かおうと決めた。

かっこ悪くてもみっともなくてもいい。

ただ司君が好きだから。


< 276 / 353 >

この作品をシェア

pagetop