“あなたを愛しています”
ふと顔を上げた。
鏡に映った私は、意外にもすっきりした顔をしている。
そんな私を見て、
「花奈ちゃん、やるんやなあ?」
菜々子ちゃんが聞く。
だからその言葉に頷いた。
菜々子ちゃんの気持ちだってすごく嬉しい。
菜々子ちゃんは自分を犠牲にしてまで司君を助けようとしてくれている。
だけど……本当のことを言うと、菜々子ちゃんだって自分の納得出来る道を歩んで欲しい。
司君にも、菜々子ちゃんにも幸せになってもらいたい!
「菜々子ちゃん、もし私が勝ったらね……」
心の中で決心した。
「司君に、将来桜庭家を継ぐように言ってみる」
「……え?」
「司君が今の仕事に満足出来て、お父さんお母さんを許すことが出来たら。
……一緒に京都に帰ろうって」