“あなたを愛しています”




そんな私を、怪訝な目で見る司君。




「なに?」



思わず聞くと、



「花奈ちゃん、変なこと考えてるでしょ?」



困った顔で言われる。



どうやら、私の思考はだだ漏れのようだ。

そこまで分かりやすい行動をしているのか!?





頰を染める私を見て、司君は楽しそうに笑った。




「あのさー、花奈ちゃん。

俺、東京に来て、この超気楽で楽しい庶民生活から抜け出せられないんだよぉ」



「……え?」



「どんなにたくさんのお金でも、自由は買えないんだね」




そんな司君に言ってしまう。




「いつかは京都に帰ろうね」



「……え?」



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