“あなたを愛しています”






手を繋ぎ、身を寄せ合い、明るく綺麗なマンションのエントランスを潜る。

そのままエレベーターに乗り込んだ私を、司君はぎゅっと抱きしめる。





「駄目だよ。

誰か乗ってくるかもしれない」



「駄目じゃないよ」




切なげなその声に、胸のきゅんきゅんが止まらない。




「俺、すっごく緊張してるんだぁ」




恥ずかしげもなくそんなこと言ってしまって、私のほうが緊張してしまう。




扉が開く前に軽いキスを交わし、真っ赤になった私をはにかみながら見る司君。

そんな彼に再び身を寄せ、その部屋に入る。



< 312 / 353 >

この作品をシェア

pagetop