“あなたを愛しています”





だけど、京都でおぼっちゃま生活をしていて良かったと思うこともある。

もちろん贅沢出来たことは当然だが、花奈ちゃんが関西弁に弱いこととか……





「ねぇ、司君」




花奈ちゃんが言いにくそうに俺に言う。




「今度、茶道の先生がお茶会するんだって。

もし良かったら司君と一緒に来てって言われて……」






そうなのだ。

気にする必要なんてないのに、なんと花奈ちゃんは茶道教室や料理教室に通い始めてしまったのだ。

それを聞いてもちろん胸を痛めたのだが……





「茶道も料理もすごく楽しいよ。

今までお金が無くて出来なかったけど、こんな習い事が出来てすごく嬉しい」





花奈ちゃんはそう言ってくれる。

だから俺も、嬉しくなってしまったのだ。





花奈ちゃんの笑顔のためなら、何だって出来る。

どんなことでもしたい。

だって……こんなにも大好きだから。


< 332 / 353 >

この作品をシェア

pagetop