“あなたを愛しています”
次の日……
ぼんやりと宙を眺めていた私に、
「花奈ちゃん、桜庭司の装花、見に行こうよ!」
急に由希さんの声が降り注いだ。
桜庭司。
その名前を聞いて、飛び上がりそうになる。
「由希さん!あのっ、実は……」
変人が桜庭司だったんです!!
そう言おうとするが、由希さんは見に行く気満々だ。
由希さんと吉川さんをあれだけ騒がせる変人だ。
その実力を見てみたい。
だけど……見つかるのも怖い。
変人が天才だと分かっただけで、それ以外は何一つ変わらない。
だけど、変人と私との関係性は変わってしまった気がした。
変人なんかに関わりたくなかったが、彼がどこか遠いところに行ってしまった気がして寂しかった。