愛して、未来
「 唯ちゃん、別れたい?」
なぜかその言葉にゾクッとした。
寒気を帯びた体が少し震えた。
「 髪ならほっとけば嫌でも伸びます、別れなら受け入れますよ 」
「 なんでそんなに固くな? もっと怒っていいし、殴ってもいい。俺がした事を思えば唯ちゃんの気持ちはわかるよ、逆なら特にね。
でも、俺は不器用すぎる君が好きなんだよね…… どうしようもなく 」
顔を見ない私の横顔を見ている力丸。
髪に触れて……
「 別れる気は全くないよ 」
そう言った。
それから……
「 今、抱きたいって言ったら… 困る?」
そう言った。
驚きの言葉に力丸を見ると、優しい顔で私の頬に手を添えて……
初めて付き合わない?と言われた時を思い出した。
今は鏡越しではない。
力丸が私に言っている。
「 今まで私に触れなかったのはなぜですか?」
「 俺の彼女なのに、敬語で、ヨソヨソしくて、背伸びしてて、どこか遠慮がちで、変な壁があるようで、俺が手を出したら壊れそうで怖かった 」
なんだか、俯くしかなかった。
ほんとはもっと欲の固まりで、好奇心の固まりであるはずの私。
なのに、私の接し方が力丸を寄せ付けていなかったなんて……
「 俺は、君が好きだから。もう、壁を壊してくれない? 」