愛して、未来
長くなった髪を少し切ろうかと、たまたま見た冊子にある美容室の割引券を見つけ新規来店した。
力丸は、そこで働く美容師だったのです。
「 おー! 君、唯ちゃんだよね? 」
あ… あの時の……
「 酔っ払いのおっさん 」
「 おっさんって… 俺まだ25!なんだ、こんな早く会えるとはな~ 運命だな 」
運命?
「 運命なんかくそくらえ、です。今日はカットお願いします、割引券ありです 」
「 あ、ああ… かしこまりました~ 」
顔には苦笑、引き攣りの力丸。
そんな力丸が私を担当する事になったはいいが、5センチ程度切って欲しいと伝えたのに、力丸は15センチも切ってしまったのです。
な… なんでこの長さ?
もう半分も切ってるし……
「 あの! これ、見てください。何センチに見えますか?」
「 ん? 5センチ?」
カチン、ときました。
当然です!
「 あなたっ 美容師のくせに下手くそですか!信じられない 」
「 ま、そう怒るなって。切ったのに理由あるから 」
「 理由? 」
「 15センチ、伸びて元の長さになるまで付き合わない?
わざと切った責任を俺に償わせてみない? 」
何を… 言ってんだか、この人は。
「 脳ミソ… 溶けてません?」