ほんもの。
タネもシカケも、証拠も愛も。
その手を掴む。
握り潰してはだめだ。
大切に、そっと、丁寧に、掴む。
大事にしたいなら、ゆっくり愛せば良い。
目を覚ますと、薄暗かった。安藤が隣で眠っている。
こんなことは初めてで、安藤の寝顔をじっくり観るのも初めて。
いつも私より先に起きて、朝ごはんを作って新聞を読んでいる。
家柄も顔も良くて、身長も高くて、持ってないものの方が少ない。安藤はきっと恵まれてる。私もきっと恵まれてる。
お風呂を出てから、安藤母に会った。
『あの子に、彼女いるならちゃんと紹介しに来なさい。でないとお見合いさせるわよって脅したのよ』