ほんもの。
眠そうな返事。時間は五時、早い。
「……起きんの?」
「まだ起きないよ」
腕を引っ張られて安藤にくっつく。温かい体温に、目を瞑った。
「ねえ、安藤」
「うん?」
「今、幸せ?」
訊いてみたかったこと。
今聞くことができた。
「まあまあ」
「えー、即答で幸せって言ってよ」
「これ以上があると思ってるから、まあまあ」
人間て複雑だなあと思う。そして面倒だ。
欠伸を噛み殺して、もう一眠りする。
もっと幸せがあると知っていても、私は幸せだ。