ほんもの。
三島さんと食事するのは、いつも同じイタリアンの店。ここで待ち合わせをして、ご飯を食べる。
三島さんがやって来て、まずワインを頼んだ。私はあまりワインは飲まないけれど、三島さんが好きだから一緒に飲んでいるという具合。
そうだ、戻ってきたら伊勢先輩の話をしよう。
なんて、思っていた。
「あなた、月白十和子さん?」
顔を上げると、女性がいた。どこかでみた、ああ、誰かの携帯で撮った写真の中で。
その人は三島さんの隣で、白いウエディングドレスを着て、微笑んでいた。
今も微笑んでいる。