君は太陽
人気者の彼
毎回代わり映えのしない手作りのお弁当を持って休憩室に向かうと、同期のきょんちゃんと小春ちゃんが手を振って迎えてくれた。
きょんちゃんの前には冷やしうどん、小春ちゃんはサンドウィッチ。ふたりは今日は、コンビニ食のようだ。
「結衣は偉いねぇ。いっつもお弁当作って持ってくるんだから」
付属のつゆをうどんにかけながら、きょんちゃんが言う。
「そんなことないよ。だっておかずも昨日の余りものだよ」
椅子に座りながら私が笑うと、ふたりも同じように微笑んでくれた。
私、三枝結衣(さえぐさ ゆい)は、とある地方都市に住む二十二歳。
今年の春大学を卒業して、地元の米菓会社であるコトブキ製菓に入社した。
きょんちゃんと小春ちゃんは、会社に入って知り合った同期入社の間柄。ふたりとも同じ歳だ。
同期は後、男性陣がふたりいるけれど、今日は姿を見ていない。
季節は早くも七月。三連休明けの火曜日は中々に忙しい。
ふたりも同じような状況らしく、「朝から大変だったぁ」と笑いながら、お昼を進めていく。
ひとしきり愚痴が終わった後、小春ちゃんが話を切り出した。
「あのね、今日は結衣ちゃんに報告があって」
ふんわりパーマのかかった髪を少しいじりながら、頬を染める小春ちゃん。
教育係である先輩に片想いをしてしまった小春ちゃん。でも先輩には彼女がいるからと、その恋を諦めようとした小春ちゃんは、連休前の金曜日に、きょんちゃんに誘われた合コンに参加することになっていた。
もしかして、その合コンで何かあったのかな?
思わず事情を知っているであろうきょんちゃんに目を向けると、「大丈夫だよ」と笑ってうなずいてくれた。
「きょんちゃんには先に言ってたんだけど、私ね、篠田さんとお付き合いすることになったの」
「篠田さんって、片想いしている先輩?」
「うん。合コン終わった後の帰りに、駅で会って告白されて……」
「小春ちゃん。よかったね~」
「ありがとう、結衣ちゃん」
嬉しくなって、私は思わず小春ちゃんの手を握りしめた。
合コンに行く、と息巻いていたけれど、小春ちゃんが篠田さんのことを気にしているのは他人の私から見ても明らかだったから、この展開はとてもうれしい。
きょんちゃんの前には冷やしうどん、小春ちゃんはサンドウィッチ。ふたりは今日は、コンビニ食のようだ。
「結衣は偉いねぇ。いっつもお弁当作って持ってくるんだから」
付属のつゆをうどんにかけながら、きょんちゃんが言う。
「そんなことないよ。だっておかずも昨日の余りものだよ」
椅子に座りながら私が笑うと、ふたりも同じように微笑んでくれた。
私、三枝結衣(さえぐさ ゆい)は、とある地方都市に住む二十二歳。
今年の春大学を卒業して、地元の米菓会社であるコトブキ製菓に入社した。
きょんちゃんと小春ちゃんは、会社に入って知り合った同期入社の間柄。ふたりとも同じ歳だ。
同期は後、男性陣がふたりいるけれど、今日は姿を見ていない。
季節は早くも七月。三連休明けの火曜日は中々に忙しい。
ふたりも同じような状況らしく、「朝から大変だったぁ」と笑いながら、お昼を進めていく。
ひとしきり愚痴が終わった後、小春ちゃんが話を切り出した。
「あのね、今日は結衣ちゃんに報告があって」
ふんわりパーマのかかった髪を少しいじりながら、頬を染める小春ちゃん。
教育係である先輩に片想いをしてしまった小春ちゃん。でも先輩には彼女がいるからと、その恋を諦めようとした小春ちゃんは、連休前の金曜日に、きょんちゃんに誘われた合コンに参加することになっていた。
もしかして、その合コンで何かあったのかな?
思わず事情を知っているであろうきょんちゃんに目を向けると、「大丈夫だよ」と笑ってうなずいてくれた。
「きょんちゃんには先に言ってたんだけど、私ね、篠田さんとお付き合いすることになったの」
「篠田さんって、片想いしている先輩?」
「うん。合コン終わった後の帰りに、駅で会って告白されて……」
「小春ちゃん。よかったね~」
「ありがとう、結衣ちゃん」
嬉しくなって、私は思わず小春ちゃんの手を握りしめた。
合コンに行く、と息巻いていたけれど、小春ちゃんが篠田さんのことを気にしているのは他人の私から見ても明らかだったから、この展開はとてもうれしい。