君は太陽
「そこまでわかってるなら、何で言わないの」
「……結婚、ってなったら、松嶋くんだけの話じゃないでしょう?」
「結衣ちゃん……」
「松嶋くんね、帰ったら話したいことがあるって言ってたの。私の左手の薬指に軽くキスをして。うぬぼれからも知れないけど、それってプロポーズなのかなって」
「そうね。私が結衣ちゃんでもそう思うと思うな」
「松嶋くんがご両親に私のことを話したとき、どう思うんだろうって。親戚の人たちにどう思われるんだろうって。それを考えたら、話すのが怖いの」
視界がにじむのと同時に、頬を涙がつたう感覚を感じた。
瑞穂ちゃんは黙ったまま、私の手を握りしめてくれる。
「ねぇ、瑞穂ちゃん」
「うん?」
「松嶋くんは、私のお父さんと同じ思いをすることになるのかな。私は、お母さんと同じ決断をすることになるのかな」
しばらくの沈黙の後、瑞穂ちゃんがゆっくりと口を開いた。
「ごめん、結衣ちゃん。私は話を聞いてあげることしかできない。結衣ちゃんの疑問を解決することもできない。でもね、これだけは言えるよ。やっぱりちゃんと、話さないと」
「瑞穂ちゃん」
「どういう結果になっても後悔しないように。結衣ちゃんも、松嶋くんも。ふたりともが後悔しないようにしっかり話し合うべきだと思うな」
ハンカチを手にした瑞穂ちゃんは、私の頬を涙を軽く押さえるとニッコリ微笑んだ。
「大丈夫。結衣ちゃんはあの俊美さんの娘だよ。だから、きっと大丈夫」
俊美さん、とは私の母のこと。
「俊美さん、いつも言ってた。『結衣には幸せになってほしい』って。私、松嶋くんと一緒にいる結衣ちゃんをみるたびに思うんだ。ああ、俊美さんに結衣ちゃんのこの姿を見せたかったなあって」
「お母さんに?」
「うん。松嶋くんに見せる結衣ちゃんの顔は、本当に幸せそうだから」
驚きで目を丸くする私を見て、瑞穂ちゃんが笑う。
「何そんなに驚いているの」
「え、私、幸せそう?」
「自覚なかったの? すっごい幸せそうに笑ってるよ、結衣ちゃん」
改めて言われると、なんだか恥ずかしくなってくる。
恥ずかしさが上回り、涙もすっかり止まってしまった私の肩を、瑞穂ちゃんが軽く叩く。
「幸せつかむために、ちょっとは頑張んなさい」
「……結婚、ってなったら、松嶋くんだけの話じゃないでしょう?」
「結衣ちゃん……」
「松嶋くんね、帰ったら話したいことがあるって言ってたの。私の左手の薬指に軽くキスをして。うぬぼれからも知れないけど、それってプロポーズなのかなって」
「そうね。私が結衣ちゃんでもそう思うと思うな」
「松嶋くんがご両親に私のことを話したとき、どう思うんだろうって。親戚の人たちにどう思われるんだろうって。それを考えたら、話すのが怖いの」
視界がにじむのと同時に、頬を涙がつたう感覚を感じた。
瑞穂ちゃんは黙ったまま、私の手を握りしめてくれる。
「ねぇ、瑞穂ちゃん」
「うん?」
「松嶋くんは、私のお父さんと同じ思いをすることになるのかな。私は、お母さんと同じ決断をすることになるのかな」
しばらくの沈黙の後、瑞穂ちゃんがゆっくりと口を開いた。
「ごめん、結衣ちゃん。私は話を聞いてあげることしかできない。結衣ちゃんの疑問を解決することもできない。でもね、これだけは言えるよ。やっぱりちゃんと、話さないと」
「瑞穂ちゃん」
「どういう結果になっても後悔しないように。結衣ちゃんも、松嶋くんも。ふたりともが後悔しないようにしっかり話し合うべきだと思うな」
ハンカチを手にした瑞穂ちゃんは、私の頬を涙を軽く押さえるとニッコリ微笑んだ。
「大丈夫。結衣ちゃんはあの俊美さんの娘だよ。だから、きっと大丈夫」
俊美さん、とは私の母のこと。
「俊美さん、いつも言ってた。『結衣には幸せになってほしい』って。私、松嶋くんと一緒にいる結衣ちゃんをみるたびに思うんだ。ああ、俊美さんに結衣ちゃんのこの姿を見せたかったなあって」
「お母さんに?」
「うん。松嶋くんに見せる結衣ちゃんの顔は、本当に幸せそうだから」
驚きで目を丸くする私を見て、瑞穂ちゃんが笑う。
「何そんなに驚いているの」
「え、私、幸せそう?」
「自覚なかったの? すっごい幸せそうに笑ってるよ、結衣ちゃん」
改めて言われると、なんだか恥ずかしくなってくる。
恥ずかしさが上回り、涙もすっかり止まってしまった私の肩を、瑞穂ちゃんが軽く叩く。
「幸せつかむために、ちょっとは頑張んなさい」