君は太陽
結衣が退職ってどういうことだよ?
一体何があったんだよ。
聞きたいことはたくさんあるけれど、ここは会社の廊下。誰が聞いているかわからない。
逸る気持ちを抑えて小野山課長の後ろを歩く。
たどり着いた会議室の椅子に座るや否や、小野山課長が一枚の封筒を取り出した。
「結衣ちゃんから頼まれていたの。あなたに渡してほしいって」
嫌な予感がして、震えだす手で、小野山課長から封筒を受け取る。
入っていたのは一枚の便箋と……俺の部屋の鍵。
意を決して二枚に折られた便箋を開けると、可愛らしくて丁寧な、見慣れた結衣の字が並んでいた。
―――松嶋くんへ
突然、こんな形であなたにお別れを言うことになって本当にごめんなさい。
松嶋くんは何も悪くありません。
私に、松嶋くんとちゃんと向き合う勇気がなかっただけなの。
この六年、あなたと一緒に過ごせて本当に幸せでした。
私に幸せを与えてくれてありがとう。
私のことを、好きになってくれてありがとう。
松嶋くんの幸せを、遠くから祈っています。
「どういうことだよ……」
手紙を読んでも、余計に混乱するだけだ。
頭を抱える俺に、小野山課長の優しい声が聞こえた。
「結衣ちゃん、何て書いてあった?」
何と言って説明したらいいのかわからなくなり、黙って便箋を差し出すと、読み終えた小野山課長が深いため息をついた。
「結衣ちゃんってば。これだけでは、松嶋くんに何も伝えられないじゃないの」
「小野山課長、一体結衣は何を考えているんですか? 俺、こんな手紙だけで別れを告げられても納得できません!」
「松嶋くんの言うことはもっともだわ。ねぇ、松嶋くん」
「はい」
「あなた、何があっても結衣ちゃんを守ることができる? 何を聞いても、結衣ちゃんの味方でいてくれる?」
「え?」
守るって、味方って、一体どういうことだろう?
「結衣に、何かあったんですか?」
一体何があったんだよ。
聞きたいことはたくさんあるけれど、ここは会社の廊下。誰が聞いているかわからない。
逸る気持ちを抑えて小野山課長の後ろを歩く。
たどり着いた会議室の椅子に座るや否や、小野山課長が一枚の封筒を取り出した。
「結衣ちゃんから頼まれていたの。あなたに渡してほしいって」
嫌な予感がして、震えだす手で、小野山課長から封筒を受け取る。
入っていたのは一枚の便箋と……俺の部屋の鍵。
意を決して二枚に折られた便箋を開けると、可愛らしくて丁寧な、見慣れた結衣の字が並んでいた。
―――松嶋くんへ
突然、こんな形であなたにお別れを言うことになって本当にごめんなさい。
松嶋くんは何も悪くありません。
私に、松嶋くんとちゃんと向き合う勇気がなかっただけなの。
この六年、あなたと一緒に過ごせて本当に幸せでした。
私に幸せを与えてくれてありがとう。
私のことを、好きになってくれてありがとう。
松嶋くんの幸せを、遠くから祈っています。
「どういうことだよ……」
手紙を読んでも、余計に混乱するだけだ。
頭を抱える俺に、小野山課長の優しい声が聞こえた。
「結衣ちゃん、何て書いてあった?」
何と言って説明したらいいのかわからなくなり、黙って便箋を差し出すと、読み終えた小野山課長が深いため息をついた。
「結衣ちゃんってば。これだけでは、松嶋くんに何も伝えられないじゃないの」
「小野山課長、一体結衣は何を考えているんですか? 俺、こんな手紙だけで別れを告げられても納得できません!」
「松嶋くんの言うことはもっともだわ。ねぇ、松嶋くん」
「はい」
「あなた、何があっても結衣ちゃんを守ることができる? 何を聞いても、結衣ちゃんの味方でいてくれる?」
「え?」
守るって、味方って、一体どういうことだろう?
「結衣に、何かあったんですか?」