君は太陽
「正確に言うと、結衣ちゃんの出生に」
俺を見つめる小野山課長の目は真剣そのもので、とても大事な話をしてくれようとしていることがわかった。
俺も、まっすぐ目を見つめ返す。
「はい。何があっても結衣のことを守り抜きます」
その答えに、小野山課長は深くうなずいた。
「結衣ちゃんが、片親で育ったっていうのは聞いているよね」
「はい。お父さんは小さい頃に亡くなったと」
「それがね、結衣ちゃんの秘密なの。実は結衣ちゃんは、自分の父親は誰か知らないのよ」
「なぜ、ですか?」
あまりの衝撃に、声が震えてしまう。
動揺を隠せない俺に、小野山課長が話してくれた結衣の出生の秘密は、あまりにも悲しい事実だった。
父親が政略結婚することになって、結衣の母親は身を引いて、知り合いも誰もいないこの地で、結衣を産み育てたなんて、考えもしなかった。
お父さんが早くに亡くなり母子ふたりで暮らしていたとはいえ、父親の愛情はしっかり受けていたと思っていたから。
「結衣ちゃんが松嶋くんを部屋に上げなかったのも、お父さんのことを黙っていたからなのよ」
「恋愛に消極的だったのも、それが原因ですか?」
「……そうね。もし、父親の知り合いの人と恋人になっちゃったら、迷惑がかかるかも知れないっていう気持ちをいつも持っていたから」
その言葉に、ハッとする。
「もしかして、結衣が俺と別れようとしてるのは、俺が松嶋グループの社長の息子だからですか? 結衣の父親と、どこかでつながっているかも知れない。結衣はそう思っているんですね?」
小野山課長は黙ってうなずく。
「最初なんて、血が繋がっているんじゃないかって気にしていたのよ。それは、松嶋くんの何気ない一言で払拭されたみたいだけど。でも、自分の思っていることをちゃんと話して解決しなさいって言ってたのに、結局逃げちゃうんだから」
「そうですね。俺、結衣から何も聞いていません」
「ホントに困った子ね」
ふたりで顔を見合わせて笑いあう。
「ごめんね。笑ってる場合じゃないわよね」
「本当ですよ。で、結衣は今どこに?」
俺を見つめる小野山課長の目は真剣そのもので、とても大事な話をしてくれようとしていることがわかった。
俺も、まっすぐ目を見つめ返す。
「はい。何があっても結衣のことを守り抜きます」
その答えに、小野山課長は深くうなずいた。
「結衣ちゃんが、片親で育ったっていうのは聞いているよね」
「はい。お父さんは小さい頃に亡くなったと」
「それがね、結衣ちゃんの秘密なの。実は結衣ちゃんは、自分の父親は誰か知らないのよ」
「なぜ、ですか?」
あまりの衝撃に、声が震えてしまう。
動揺を隠せない俺に、小野山課長が話してくれた結衣の出生の秘密は、あまりにも悲しい事実だった。
父親が政略結婚することになって、結衣の母親は身を引いて、知り合いも誰もいないこの地で、結衣を産み育てたなんて、考えもしなかった。
お父さんが早くに亡くなり母子ふたりで暮らしていたとはいえ、父親の愛情はしっかり受けていたと思っていたから。
「結衣ちゃんが松嶋くんを部屋に上げなかったのも、お父さんのことを黙っていたからなのよ」
「恋愛に消極的だったのも、それが原因ですか?」
「……そうね。もし、父親の知り合いの人と恋人になっちゃったら、迷惑がかかるかも知れないっていう気持ちをいつも持っていたから」
その言葉に、ハッとする。
「もしかして、結衣が俺と別れようとしてるのは、俺が松嶋グループの社長の息子だからですか? 結衣の父親と、どこかでつながっているかも知れない。結衣はそう思っているんですね?」
小野山課長は黙ってうなずく。
「最初なんて、血が繋がっているんじゃないかって気にしていたのよ。それは、松嶋くんの何気ない一言で払拭されたみたいだけど。でも、自分の思っていることをちゃんと話して解決しなさいって言ってたのに、結局逃げちゃうんだから」
「そうですね。俺、結衣から何も聞いていません」
「ホントに困った子ね」
ふたりで顔を見合わせて笑いあう。
「ごめんね。笑ってる場合じゃないわよね」
「本当ですよ。で、結衣は今どこに?」