君は太陽
手を合わせながら、私は母に語り掛ける。

お母さん、この人が、私の大好きな人です。そして、蒼大くんのおかげで、お父さんに会うこともできたよ。

お父さん、ずっと幸せだったって。よかったね、お母さん。

私が目を開けても、父はまだ手を合わせていた。

横に立つ蒼大くんと目を合わせて、そこから少し離れた場所へと移動する。

「しばらくふたりきりにしてあげようよ」

「そうだな」

「お父さん、何を話してるんだろう?」

「気になる?」

「うーん。気になるといえばそうなのかなあ」

そうやって話す私たちの前に、ふたつの人影が近づいてくる。

「あ、来た来た」

その陰に右手を挙げる蒼大くん。

「え? 蒼大くんの知り合いの方?」

「うん。俺の両親」

「え!?」

サラッと告げられた衝撃の事実。

「ちょっと待ってよ。私、蒼大くんのご両親がこっち来てるなんて聞いてないよ?」

「言ったら結衣が緊張するかと思って、言わなかったんだ」

「確かに緊張するけど、でも何も聞いてないのも困るよ。ねぇ、蒼大くん、私、こんな格好で大丈夫?」

あたふたする私を見て、蒼大くんがアハハ、と笑う。

「俺が同じこと気にしたときには大丈夫って言ってたくせに」

「だって……」

「久しぶりだな、蒼大」

「元気でやってるの?」

「ああ。父さんと母さんも、元気?」

まだ心の準備ができていない私をよそに、私たちの元へやってきた蒼大くんのご両親は、息子と久々の再会の挨拶をしている。

トン、と私の左肩に蒼大くんの手が触れて、一歩前へと体が進んだ。

「父さん、母さん。こちらが三枝結衣さん。俺の彼女だよ」

「初めまして、三枝結衣です」

ガバッ、と頭を下げ、私もご両親に挨拶をする。

そして顔を上げようとしたとき、誰かにギュッと体を抱きしめられた。

「あなたが結衣ちゃんなのね。会いたかったわ」

「ちょっと、母さん。いきなりは止めろよ。結衣もびっくりするだろ」

蒼大くんの言葉に、私を抱きしめているのは蒼大くんのお母さんだということを知る。

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