君は太陽
「もしかして、母さん。俺にコトブキ製菓を薦めたのって……」
「結衣ちゃんと同じ街にいたら、もしかすると蒼大と知り合いになることがあるんじゃないかって思ったの」
蒼大くんのお母さんの告白に、私と蒼大くんは目を見合わす。
「だから昨日、蒼大から電話をもらったとき、主人とふたり手を叩いて喜んだわ。奇跡って起こるのねって」
「聞いたときには本当に驚いたよ。まさか、同じ会社に就職していて、しかもずっと付き合っているって言うんだから」
ご両親の言うことが信じられなくて、目をパチパチ瞬かせていると、横から蒼大くんが私の名前を呼んだ。
「結衣。俺たちが出会ったのは、きっと運命だ」
「運命って。ちょっと大げさかもだけど、私もそう思った。蒼大くんに会えて、こうやってお父さんにも会えて。だけどそれが、お母さんのおかげだっていうのがちょっとだけ悔しいよ」
「え? 悔しいの?」
「うん。なんか、お母さんにずっと守られているみたいで。結局私は何も出来なかったんじゃないかって思っちゃう」
少しだけ口を尖らせると、私以外の人たちがクスクスと笑っていた。
「そんなことないわよ。結衣ちゃんがいたから、俊美ちゃんは頑張れたのよ。きっと、この写真を見てずっと頑張っていたのよ」
手の中にある、母が大事にしていた写真を見つめていると、蒼大くんのお母さんがうれしそうに語り掛けてくれた。
「結衣ちゃん。この写真、私と俊美ちゃんだけが写ってるって思ってない?」
「え? 違うんですか?」
「ほら、よく見て。写真の右側」
蒼大くんも私の持つ写真をのぞき込んできて、ふたりで写真の右側を見つめる。
「これ、影かな?」
「ホントだ」
「この影ね、きっと逢沢くんよ」
「えっ!?」
「多分逢沢くんの顔がはっきり写っているものを持っているのは憚られたんだろうけど、どこかで持っておきたかったのね。きっと乙女心よ」
その言葉に、父は少し照れくさそうに空を見上げていた。
「そうそう。逢沢くんの奥様から、結衣ちゃんに伝言。『私も結衣ちゃんに会いたいから、一度東京に来てください』って」
「いいんですか?」
「結衣ちゃんと同じ街にいたら、もしかすると蒼大と知り合いになることがあるんじゃないかって思ったの」
蒼大くんのお母さんの告白に、私と蒼大くんは目を見合わす。
「だから昨日、蒼大から電話をもらったとき、主人とふたり手を叩いて喜んだわ。奇跡って起こるのねって」
「聞いたときには本当に驚いたよ。まさか、同じ会社に就職していて、しかもずっと付き合っているって言うんだから」
ご両親の言うことが信じられなくて、目をパチパチ瞬かせていると、横から蒼大くんが私の名前を呼んだ。
「結衣。俺たちが出会ったのは、きっと運命だ」
「運命って。ちょっと大げさかもだけど、私もそう思った。蒼大くんに会えて、こうやってお父さんにも会えて。だけどそれが、お母さんのおかげだっていうのがちょっとだけ悔しいよ」
「え? 悔しいの?」
「うん。なんか、お母さんにずっと守られているみたいで。結局私は何も出来なかったんじゃないかって思っちゃう」
少しだけ口を尖らせると、私以外の人たちがクスクスと笑っていた。
「そんなことないわよ。結衣ちゃんがいたから、俊美ちゃんは頑張れたのよ。きっと、この写真を見てずっと頑張っていたのよ」
手の中にある、母が大事にしていた写真を見つめていると、蒼大くんのお母さんがうれしそうに語り掛けてくれた。
「結衣ちゃん。この写真、私と俊美ちゃんだけが写ってるって思ってない?」
「え? 違うんですか?」
「ほら、よく見て。写真の右側」
蒼大くんも私の持つ写真をのぞき込んできて、ふたりで写真の右側を見つめる。
「これ、影かな?」
「ホントだ」
「この影ね、きっと逢沢くんよ」
「えっ!?」
「多分逢沢くんの顔がはっきり写っているものを持っているのは憚られたんだろうけど、どこかで持っておきたかったのね。きっと乙女心よ」
その言葉に、父は少し照れくさそうに空を見上げていた。
「そうそう。逢沢くんの奥様から、結衣ちゃんに伝言。『私も結衣ちゃんに会いたいから、一度東京に来てください』って」
「いいんですか?」