蓼科家物語 四女 桜和の話
襖が外れるんじゃないかと思われる具合の勢いですぱーんと音を立てて開いた。
桃「暖弥………おかえりなさい」
暖「はーー……心配した…」
小脇に抱えていたスーツと、手に持っていた荷物をどさっとおろして暖弥は桃葉さんに近寄り、そして彼女を抱きしめた。
桃「…ごめんなさい」
暖「いいよ…約束、ちゃんと守ってな」
桃「………………………うん」
桃葉さんも暖弥の背中に手を回した。それをみて、俺は音を立てないようにして部屋を出た。
宴会場に戻ると、ほぼ全員が酔っ払ってふらふらしていたが、喧騒のやまないその中に腰を下ろして一緒にその場を楽しむことにした。
それから数時間後に俺のスマホに一本の電話が入った。