し ろ う さ ぎ
懸命なあたしの言葉は斎川君にも届いたみたいで振り返って、笑いながら言ってくれた。
「うん。
また明日ね、笠井さん」
あぁ、その言葉だけでこんなにも舞い上がれるなんて。
その言葉だけで明日がこんなにも待ち遠しいなんて。
恋とやらは、きっとあたし自身が思うよりずっとキラキラしてるみたいだ…────────
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いよいよ10月に突入。
大まかに準備組と脅かし組とに別れて始まった文化祭準備。
脅かし役なんて上手く出来ないことは分かりきっているから、あたしは準備組へ。
「あー、パレット全部汚れちゃったね」
「……あ!
じゃあ、あたし洗いに行くよっ」
「えっ、でもちづちゃん一人は……」