し ろ う さ ぎ
「あたしらも行こっか、ちづ」
「あ、うん……っ」
少しだけ後ろ髪を引かれる思いで少し離れた大道具の準備場所へ。
とりあえず教室を仕切って壁を作るようなのでひたすらそのお手伝い。
でも時々、気付けば手が止まっていて斎川君を目で追ってる自分がいる。
クラスメートと前のように会話を交わしながら作業をしてる。
クラスメートの手のひらを返したような態度にあたしは今も煮え切らない思いもあるけど……
斎川君が何も言わないなら、あたしが口を挟む理由も無いよね……。
まあここであたしがでしゃばって波風立てたく無い……なんて卑怯な考えもあったり……するんだけど。
斎川君には見せたくない、自分がいる。