し ろ う さ ぎ
「そ、そうだよねー。
ってか紗耶は彼氏いるんだからそんなことは考えなくていーの!」
「はいはーい」
「そう言えば最近どうなの?
えーっと……山野、将希君……だっけ?
ちゃんとデートとかさ!」
「……あー」
聞かないでくださいと言わんばかりの歯切れの悪さ。
……まさか?
いやいや。
紗耶に限ってそんなこと。
だってもう付き合って一年だよ?
今更別れるって……
「別れましたー」
「ええええ!?
ちょ、嘘……!
いつ……!
なんで……!」
「うーん、この間?
すれ違い多くてさ、ここんとこ。
で、別れよーみたいな?」
「……紗耶は……それでいいの?」
「いいんだって、あたしのことは!
それよりほら、今はちづのことを最優先に!」
「で、でもでも……」
「いいの、本当に!
文化祭で斎川君に告白する!
あたしとの約束だからねー、守ってよ!
はい、指切拳万!」
これ以上踏み込んだら多分……紗耶は怒るんだろうな。
そんな雰囲気が今でも充分伝わってきて。