し ろ う さ ぎ

彼と手を取り合って歩いて行けたら毎日どんなに幸せなことなんだろう。



「……っはい!
もちろんです……っ」



差し出されたその手をゆっくり握る。


どこか遠くで文化祭の始まるアナウンスと生徒達の騒がしい声が耳を掠めていく。


この空間だけそんな喧騒から切り離されたような錯覚に陥る。


今……斎川君とこうしている時間は戻らない。


二度と同じ時間はやってこない。

そのことを忘れないでいたい。




「……あ、じ、じゃあ……行こっか……」


「うん、そうだね」



何をする訳でもなくただ目を合わせる空間が恥ずかしくて思わずそう言っちゃったけど……。
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