し ろ う さ ぎ
斎川君に向けていたものとは明らかに違うキッとした鋭い眼差し。
敵意をそこに含んでいるのは明白で思わずたじろぐ。
「葵、失礼だよ。
この人は笠井千鶴さん」
「か、笠井……千鶴です……。
どうも……?」
「笠井さん、そんなに畏まらなくてもいいよ?
葵は一つ年下だから」
「あ……そ、そうなんだ……っ」
「その千鶴さんって夏稀君の彼女かなにかですか?」
「……っえ」
「そうだよ、葵。
だからオレは……葵とは帰れない」
「……嘘つき」