し ろ う さ ぎ
皮肉な再会
ホームランには程遠いけど打った球は確かに向こうへバウンドしていった。
「や……やったぁ!」
心からの嬉しさが込み上げてきて、バットを下に転がして跳ねて喜ぶ。
久しぶりだな……こんな風に喜んだの……。
翔太君も嬉しそうにグッドポーズしてくれたけど何かを思い出したような顔をした。
「あ!
千鶴あと一球……」
「そ、そそうだ……!」
翔太君の言葉に反応した時には遅く……。
ブンッ!と乾いた音を立てて最後の一球が傍らを通過。
……うーん。
まあ一球打てたからよしとしよう……?
「いやー、バッティングってこんなに楽しいんだね!」