し ろ う さ ぎ

そもそも、そんな関係になりたくて翔太君に会ったんじゃない。

本当にただ……お礼がしたくて。


誤解を招いてしまったからにはそう弁解するべきなのに……


あたしの口からは何も言葉が出てこない。


みっともなくても好きならすがるべきなのに……

斎川君だって葵ちゃんといるじゃん……
なんて自分のことは棚に上げ意地を張って黙ることしか出来なくて……。




「笠井さん……その人は?」


「……別にその……
昨日危ない所を助けて貰って、それでお礼を……」


「昨日……?
何かあった……?」


「斎川君には……!
関係ないことだから……!
あたしのことなんて……どうでもいいんだよね」


「そんなこと……!」


「それじゃあどうして……っ。
一緒に帰ろうって言わせてもくれないの……?
なんで今……葵ちゃんといるの……」


「違うんだ、笠井さん……。
葵は……」


「もういいよ……!!
行こう……翔太君……」


「……っえ?
い、いや……でも」


「いいの……!」


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