し ろ う さ ぎ
チラッと斎川君の方を意味ありげに見た紗耶の肩をペチッと叩いて引き戻す。
「不安にさせたい訳じゃない。
だけど二人には何かしら……特別な思いがあるのかも知れないよ」
「そ、そんなぁ……」
「現にちづより優先して喧嘩しちゃったわけだし」
「や、やっぱり別れるべき……」
「んだからぁー!
そういうことじゃない!
斎川君のちづへの言葉に嘘は無いと思う」
「あたしもそれは……信じてる」
斎川君はそんな人じゃない。
あたしを変えてくれた、そんな人がわざわざここまでして人を傷付けるようなことはしない。
まだ今日一度も話せていない斎川君の姿はいつもよりずっと遠く感じる。
「あの元カノちゃんと何があったのか……。
まずはそこをちゃんとさせないと。
なんなら聞き出してあげよーか?」