し ろ う さ ぎ
笑顔にしてあげたい
「斎川君も……その……親の人と上手くいってないの……?」
「実は、ね……。
オレも葵も父子家庭で育ってるんだけど……上手くいってないんだ」
「……そっか……」
意外だった。
斎川君のそういったプライベートなことって想像したこともなかった。
漠然と、両親に囲まれ楽しげに微笑む斎川君があたしの中にはいた。
家のことで悩む素振りなんてこれっぽっちも見なかったから……余計に現実の想像がつかない。