し ろ う さ ぎ
でも……ここだけの話、それでも斎川君が遠くへ行ってしまうことが嫌だった。
誰かを傷付けてでも……斎川君に傍にいて欲しいと……思ってしまっている。
こんな人間に……なりたくなかったはずなのに……。
素直になればなるほど、嫌いな自分が沢山出てくる。
「オレの引越のことも高校に掛け合って転校させてもらったんだ」
「で、でも……斎川君なら一人残って向こうでも生活出来たんじゃ……」
「そうだね。
父親もそうしろって言ってきた。
もうすぐ卒業だろ、金は心配いらないって。
でも……なんでだろうね。
オレはそうしなかった」