し ろ う さ ぎ
“なんでだろうね”
そう問い掛けつつも、斎川君の中では答えが出ているような表情だった。
「それで葵とも離れることになった。
オレは今となってはそれでも良かったかもって……思う」
「っえ……」
「あのまま、ずっと一緒にいたら……きっと何も変わらないままだったと思うから……」
「変わらない……まま……」
「葵もオレも……二人で同じ傷を癒す振りをしながら逃げる日々……」
そう言って斎川君は寂しそうに笑うんだ。