し ろ う さ ぎ
今あるこの奇跡
「今……?
家だけど……」
「夕焼け……綺麗だよ」
ふと窓から橙の光を溢すその先には大きな夕焼けが。
どこからか夕暮れを知らせるチャイムが遠くで鳴っている。
「翔太君、この時間が一番好きって言ってたよね」
「あぁー、そうだな」
「……まだ……斎川君とは見れてないや。
いつもね……斎川君しか見えなかったから……」
だから……真っ直ぐ見つめる彼が、あたしじゃない違う女の子を見ているのが辛かった。